1/48飛行機プラモデルの作り方、塗装方法、資料、各種ツールの紹介

ドラゴン:Me262 B1a/U1を作る

世界初の実用ジェット夜間戦闘機

1/48のMe262の単座型のキットは田宮模型のキットなど幾つものバリエーションが発売されていますが、複座型のBシリーズはドラゴンのキットぐらいしかないように思います。

Me262B1a:U1箱

今回はドラゴンの1/48複座夜間戦闘機タイプの Me262B1a/U1を作る事にしました。夜間戦闘機タイプでは「赤の8」「赤の10」「赤の12」が有名で、写真も残されています。ドラゴンのキットもデカールは「赤の10」と「赤の12」がセットされています。

Me262B1a:U1パーツキットのパーツ数は最近のもの(と言っても発売は10年以上前だと思いますが)の標準的なものだろうと思います。アンテナなどにはエッチングパーツも用意されています。 ただ、このキットもデカールの白部分が黄ばんできているので、デカールは使えそうにありません。

今回も計器盤とコクピットのサイドコンソールをエデュアルドのエッチングパーツに置き換えるなどの若干のデティールアップを考えています。

コクピットの工作

計器盤エッチングパーツ完成①まず計器盤パーツの表面のメーター類のモールドをやすりでゴリゴリ削って平らにしておきます。計器盤左側の出っ張った所の表面も平らにしますが、掘削面と側面の角度が90度を保つように、また、断面が丸くならないように慎重に削ります。

エッチングパーツの組み付けは指示されたパーツを指示された場所に瞬間接着剤で貼っていくだけですが、未だになかなか上達しません。今回もスイッチ類のパーツの幾つかやレバーの何本かを紛失してしまったので、レバーの一部はキット付属のエッチングパーツを利用しています。 計器盤の裏側に0.3ミリのカーモデル用のプラグコードを使って配線をしてみました。もっとも、Me262の場合は完成後にはほとんど見えなくなってしまうんですけどね。 コクピット完成②本当は、操縦桿に機関砲発射ボタンの配線をしたかったんですが、パーティングラインの処理中に操縦桿パーツが折れてしまいそうになって、諦めてしまいました。

今となっては遅いですが、操縦桿は適当な太さの真ちゅう線を使って作り直した方が良かったですね。

コクピット完成①エッチングパーツ以外のデティールアップはシートベルトをファインモールドのナノアヴィエーションシリーズを使いました。また、左側コンソールパネルから出ている酸素マスク用のチューブを0.6ミリの真ちゅう線で追加しました。0.6ミリでは太すぎるのですが、ここは存在感重視です。

パイロットシートとレーダー手シートは座面と背もたれが別パーツになっていますが、取り付け角度の指示がないので、適当に少し斜めになるようにしました。背もたれとシートのクッションは革製だったのではないかと思うので半ツヤ消しの茶色にしました。

座面のシートベルトはMe262ではシートの内側に取り付けられていた様です。また、パーツの厚さが気になったので、シートパーツの外側をかなり削って薄くしています。

コクピット裏の配線③また、コクピットの裏側と主脚収納庫から見える範囲の胴体内側の補機類には配線を適当にでっち上げて追加しています。黄色と青の配線はカーモデル用のプラグコード、青色の酸素ボンベと隣の銀色の小判形のタンクから出ている銀色の配管は0.6mmの半だ線を使いました。

配線に使ったプラグコードは1/48スケールでは太すぎますが、ここも存在感を重視しました。

また、主翼の接着方法が、主翼と胴体パーツの厚み部分でのみ接着すると言う親切設計だったので、主翼の落ち込み防止用に0.2mmプラ板を胴体パーツの内側に1mmほど出るように貼り付けています。この部分は主翼を貼り付けたら見えなくなるので心配はいりません。

 

仮組・胴体貼合せ

仮組・胴体と主翼の隙間仮組してみて分かったのですが、主翼と胴体の接合部に約0.2mmの隙間が出来てしまいます。また、主翼の厚さが足りません。主翼全体が薄すぎるのですが、修正はエンジンポッドの内側部分だけにしようと思います。主翼と接する部分で約1.5mm、エンジンポッド側で約1.3mm程度の楔形にプラ板を調整して挟み込むつもりです。さらに、別部品となっているガンベイ後ろのパーツと胴体パーツの勘合が良くないですね。この辺りが修正のポイントになりそうです。

胴体貼合せ①胴体貼合せ②

このキットの大きな問題点の一つが、方向舵後縁の厚さが半端な厚さではない点です。片側がパーツの厚さそのままで単に角を丸くしただけの厚さなので、貼合せる前に接着面をゴリゴリサンディングします。

接着面の削り込みだけでは垂直尾翼の断面形が翼型にはならないので、胴体左右パーツを貼合せた後、舵面の筋彫を深くしてから表側も削り込みました。

胴体パーツの貼合せは上面側に段差が出来ない様に接着剤をたっぷり使って輪ゴムと細い針金で締めつけました。接着剤をたっぷり使う事で、接着剤で解けたプラスチックをはみ出させてパテの変わりにする事が出来ます。
コクピット後ろの修正②コクピット後ろにかなり目立つ段差が出来るので、平らになる様に削りますが、後席後ろの円形のモールドが邪魔になったので、モールドごと削り落として0.1mmのプラ板を貼り付ける事にしました。同時に後席後ろの平らな部分の段差も修正しておきます。写真はプラ板を貼り付けておおまかな整形が済んだ状態です。この後、胴体断面形に合わせて整形し、内部色のRLM66ダークグレーを塗装しておきます。

 

パーティングライン、押し出しピン跡、ゲートの処理

このキットはパーティングラインや押し出しピンの跡が目立ちます。特に脚柱などの本来なら断面形が円形でなければならない部品などの細いパーツ、小さなパーツにパーティングラインが目立ちます。パーツの押し出しピン跡

写真はタイヤのハブの内側の押し出しピンの跡ですが、このままでは当然タイヤの内側の厚さに合わないので、きれいに削り取る必要が有ります。

位置決めのピンの根元にも押し出しピン跡があるのがやっかいです。

キャノピーのマスク①部品とランナーの境目のゲートにも問題が多いですね。例えば、第一風防のゲートはガラス面にまではみ出しているので、きれいに整形してやる必要があります。

ここは、ガラス部分に出来る限り傷を付けないようにはみ出した部分をカッターで慎重に削って行き、フレームのモールドの高さになったら、ガラス面を切れ味の良い「のみ」を使って慎重に削りフレームの段差を残してやる必要があります。透明部品は割れやすいので力を入れすぎないように充分気をつける必要があります。

整形が済んでから、コンパウンドで透明度を回復させますが、この作業だけで一日を費やしてしまいました。

写真は左側が修正後、右側が未修正の状態です。

 

主翼の厚さの修正、胴体との接着


主翼の厚み修正①主翼下面パーツに脚収納部のエッチングパーツを取り付けてから主翼の上下を貼合せます。
主翼前縁内側に0.5mmと0.2mmのプラ板を胴体との接着部で1.5mm、エンジンポッド側で1.3mmの厚さで貼り付けて、黒の瞬間接着剤をパテ代わりに使って整形しました。主翼上下のパーツの接合部よりよりもほんの少し前に出して断面形が不自然にならないようにしました。
同時に上面パーツの胴体との接着面にも0.2mmのプラ板を貼り付けて、上面パーツに合わせて整形しておきます。

続いて主翼と胴体を接着しますが、ここで大問題の発覚です。エッチングパーツの取り付け位置が不正確だったのか、主脚収納部のエッチングパーツと胴体側壁が干渉してしまい、主翼フェリット部分に1mmほどの段差が出来てしまいます。

主翼・胴体貼合せ①側壁を向こう側が透けるほど削り込みましたが、0.5mm程の段差が残ってしまいました。側壁に穴を開ける訳にもいかないので、強引に黒の瞬間接着剤で接着してしまい、黒の瞬間接着剤をパテ代わりに胴体側のフェリット部分を整形する事にしました。接着強度も得られるので一石二鳥です。

主翼・胴体貼合せ③胴体先端の銃口部分が別パーツになっているので、ここに鉛板を約40gほど入れておきます。組立説明書には重りを入れる様に指示はされていますが、何グラム入れたら良いのかの指示はないので、主脚取り付け部でキットを支えて、確実に機首が下がる量を入れる様にします。

そして、この銃口部分のパーツが大問題です。胴体部品との接着部が全く合いません。パーツの前後の接着面が「谷」になってしまい、側面形がデコボコになってしまいます。

また、幅も後ろが左右ともに0.2mmほどはみ出してしまいます。パテや黒の瞬着を使って、なだらかな曲線になるように整形します。

銃口部分修正①上の銃口を塞ぐ楕円形の「ふた」のモールドがシャープさに欠けていて、整形の邪魔にもなったので下の銃口部分のモールドとともに削り落としてしまい、0.1mmのプラ板を楕円形に切り出して貼り付けました。

写真を撮る時に気付いたのですが、キットのモールドを元にしたサイズでは大きすぎた様ですね。

ガンベイの蝶番を伸ばしランナーで追加しました。伸ばしランナーを貼り付けて、1mm間隔でカッターで刻みを入れています。蝶番の間をサンドペーパーで整えているうちに一区画が外れてしまいましたが、同じ太さの伸ばしランナーを再現出来そうにないので、外れたままにしてしまいました。ついでに銃身を真ちゅうパイプに置き換えました。

このキットは20mm砲2門装備のタイプですが、キット指定の「赤の10」「赤の12」は30mm砲4門装備のタイプだった事が残された写真からも明らかなので、キットの指定は間違いだと言う事になります。

 

 

ドロップタンク周りの工作


増倉取り付け穴開口①まず、ドロップタンクの取り付け架用の0.6mmの穴を自分で開ける必要があります。

1mm方眼のマスクシートの細切りを物差し代わりにして位置決めをして開口しました。

ドロップタンク取り付け架のパーツ自体がとんでもない代物で、そのままでは全く使い物になりません。

まず、縦方向の胴体との接着ラインが直線になっているので、胴体下面の微妙なカーブに合う様に少しずつ慎重にサンディングして合わせてやる必要があります。

さらに、そのままだと、正面から見た時の取り付け角度が「ハ」の字になるので、取り付け架の内側を削って取り付け角度が地面に対して垂直になるように削ってやります。

位置決め用の前後のピンは整形の邪魔になるので、前のピンは削り落として正面から見た時により密着するようにしました。胴体側には、穴開けの際の鉛筆のラインを残しておいたので、パーツの先端がラインに合う様にして機軸に平行になるように合わせました。

取り付け架の内側と胴体下面の間に若干の隙間が残ってしまいましたが、下面塗装がフラットブラックなのであまり目立つ事はないだろうと思ってそのままにしてしまいました。

増倉ゲートの修正タンク本体パーツにもリップにゲートがあるので整形する必要があります。

また、組み立て図ではタンク本体の上下を逆に接着するように指示されているので注意が必要です。もちろん、給油口が上に来るのが正解です。タンク本体の上面中央に一見位置決め用のタボの様な物が有りますが、取り付け架には対応する穴はないので、このタボは切り取ってしまいます。

手持ちの資料にもタンク本体の取り付け架への取り付け方法が分かる資料がなかったので、タンクのリップが正面から見た時と横から見た時に概ね水平になるように角度に注意してタンク本体と取り付け架を直接接着しました。

 

 

脚等小物パーツの仕上げ、エンジンポッドの接着


レーダーアンテナ機首のレーダーアンテナを組み立ててメタルプライマーを塗ってからMrカラーのNo.214ダークアイアンで塗装しました。

左が乾燥後綿棒で磨いたもの、右が磨く前です。磨くだけで素晴らしい質感が得られるの嬉しい限りです。

レーダーアンテナを取り付ける「く」の字型のパーツのアンテナ部分を切り取って、金属パーツを取り付ける穴を0.3mmのピンバイスで開けておきます。

4つのうち3っつは中心に開ける事が出来ましたが、1つは中心を外してしまい、破れてしまったので0.3mm幅の溝にしてアンテナパーツを黒の瞬間接着剤を少し多めに使って整形しました。

また、主脚、前脚ともにタイヤの中心線が脚柱の中心線にそろう飛び出した位置に来てしまいます。

ハブの穴を0.6mmのドリルで広げてから、車軸の直径に合う様にルーターの円錐型のポイントを使って微調整し、さらに車軸を1mm程短くしてタイヤが脚柱ギリギリの位置に来る様に修正しました。

タイヤ修正と加工①ゴム製のタイヤはそのまま使えるかと思ったのですが、タイヤの中心線で微妙な段差があったので、400番のペーパーで目立たなくなるまで削り込みました。

ついでに自重変形タイヤにしてみました。タイヤの接地面を作って、真ん中に切り込みを入れ0.5mmプラ板2枚を押し込みました

エンジンポット修正エンジンポットにも大きな修正が必要です。

エンジンポットの前端部分と本体部分の接着部に機首の銃口部品の時と同じように段差が出来てしまいます。

ここにも黒の瞬間接着剤を盛り付けて、全体がなだらかになるように調整します。

前端部分の楕円形の給油口のモールドが消えてしまいましたが、持ち合わせの楕円形のテンプレートにサイズが合うのが無かったので、再現は諦めてしまいました。

脚収納庫のマスク③エンジンポッドを主翼に接着しますが、ここも段差、隙間のオンパレードなので黒の瞬間接着剤で接着強度の確保と同時に隙間、段差を埋めました。

主翼上面のエンジンポッドとのつながりも前後ともに不連続になってしまうので、かなりゴリゴリ削る必要があります。

一連の修正で、エンジンポッド周りの筋彫が消えてしまったので、主要な筋彫は彫り直しました。

キャノピーのマスク②キャノピーのマスキングはいつもの様にツキムラさんのカット済みマスキングテープを二組利用して、外側と内側をマスクしました。

外側のマスキングが終了しただけのこの写真では分かりませんが、第2風防の内側には補強のための枠が追加されていた様なので、写真を参考に補強枠を塗装で表現しました。

 

 

全体塗装


脚収納庫のマスク①エンジンポットを主翼に取り付けたら全体塗装に入れます。まず、主脚収納部、前脚収納部をマスクします。マスキングテープでも良いんですが、主脚収納部にテープを貼るのが面倒そう(空洞が大きい割にテープを貼る部分が主翼パーツの厚みの分しかないなど)だったので練り消しゴムを使ってみる事にしました。

塗装後に判明した事ですが、少なくとも前脚収納部はテープでマスクした方が良かったですね。練り消しゴムが出っ張りすぎて、増倉タンクや取り付け架の胴体側などに影になるところが出来てしまい、塗装するのに苦労しました。

全体塗装終了①全体塗装終了②Me262B1a/U1は「赤の10」「赤の12」が有名で、文林堂の世界の傑作機のMe262にも鮮明な写真が紹介されています。キットの指定塗装もこの二つですが、キットのデカールは「10」と「12」の縦の長さが短いような気がするのと、白が黄ばみ出しているので使わずに「赤の11」にする事にしました。

実記写真があまり知られていない事を良い事に、自分の好みで塗装出来るのも「11」にした理由の一つです。また、「11」だと「10」や「12」の様に曲線部分がないので、数字のマスクを作る際に楽なのも「11」を選んだ理由です。

全体塗装終了④全体塗装は、まず下面全体にフラットブラックを塗装して、主翼下面、尾翼下面エンジンポットの側面をテープでマスクし、上面にRLM76ライトブルーを塗装、次に、RLM66ブラックグレーの大きな斑点迷彩としました。

国籍マーク、垂直尾翼の鉤十字なども全てツキムラさんのカット済みマスキングテープを利用して塗装しています。

フラットブラックに白いマークはなかなか見栄えがしますね。

 

 

完成です


全体塗装と国籍マーク、機首と後部下面の白の破線を塗装して、注意書きなどのデカールを貼ってようやく完成です。

U1完成⑩リサイズ今回初めて利用したドライデカールは、主翼上面などの赤の注意書き、燃料給油口の黄色い三角、正体不明のエンジンポット側面の赤丸、機首の30mm砲の給弾数を書いた白いラベルなどです。

ドライデカールは一旦転写作業を始めると場所の修正が出来ないので場所決めは慎重にする必要が有りますが、水を使わないので非常に扱いやすくて良いですね。転写してしまうと、普通のデカールのように余白が無いので、シルバリングが起こらない事も助かります。

U1完成⑳最後にMrカラーのフラットクリアーでツヤを整えましたが、ドライデカールが影響を受けるような事はありませんでした。

ドライデカールは、比較的広い突起物のない平面に使うには非常に優れたアイテムのように思います。米軍機などのノーズアートなどにも使えそうなので、メーカーさんにも考慮して欲しいなと思います。

U1完成⑤リサイズループアンテナは厚さ0.2mm、幅0.5mmの洋白線で自作しました。エッチングパーツが付属していますが、実物は板状になっているはずのループアンテナとしては厚すぎる様に思います。

アンテナ線を0.1mmの極細ワイヤーで張ったのですが、作業中にアンテナ柱が折れてしまって、結果的にアンテナ線がたるんでしまいました。機会があればアンテナ柱を自作してアンテナ線も張り直したいと思っています。

他の完成写真はギャラリーにアップしています。批評などコメントをくだされば幸いです。

 

 

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