アカデミー:P40 Bを作る
シャークマウスはP40Bによく似合う
米軍の戦闘機を中心にシャークマウスを描いた機体は多いですが、シャークマウスが一番似合っているのはP40Bではないかと思っています。
1/48のP40Bのキットは現在は入手困難なものが多いのですが、古いのではレベルのキットが有ります。このキットはおそらく60年代のモノではないかと思います。時代を反映して、パネルラインが細い凸表現で、リベットも凸表現で再現されています。
また、補助翼は可動仕様になっていますが、例えばフラップを開位置にすると胴体内部が筒抜けで、ここに手を加えるのはそれなりに大変な作業になりそうです。さらに、機首下のエアインテークは塞がれてしまっていて、P40の特徴の一つである機首から見える管状のラジエターは完全に無視されているなど、満足出来る作品に仕上げるのはかなり高度な技術が要りそうで、作ろうとして挫折したものです。
今回作る事にしたアカデミーのキットは発売時期も新しいので、レベルのものに比べると格段に出来は良さそうです。
パーツの数もそれほど多くはないので、比較的早く完成させる事が出来そうです。
このキットはイギリス軍の北西アフリカ戦線でドイツ、イタリアを相手に戦った部隊のデカールが入っています。
アフリカ戦線でもP40シリーズは性能ではドイツのBf109やFw190と比べると、かなり劣っていましたが、それなりの活躍はしています。
しかし、せっかくP40Bを作るんですから、やはり中国大陸で日本軍相手に奮戦した、青天白日マークのアメリカ義勇軍部隊の機体にしたいので、デカールは別売りのモノを使う事にしました。キャノピーのマスクはエデュアルドのカット済みマスキングテープが手に入ったので使ってみる事にします。
仮組でキットの問題点を探す
組立に入る前に、キットのおおまかな問題点をはっきりさせるために仮組をします。
各胴体パーツ、主翼パーツの合い具合は良さそうです。ただ、主翼翼端の反り上がりの表現が無いのが残念です。翼端の反り上がりはP40シリーズ共通の特徴なので、上手く行きそうなら修正に挑戦しようかなと思います。
また機種上面のエアインテークの形状が真円になっていないのも手直しが必要ですね。
P40シリーズの「顔」と言うべき「あご」の中の管状のラジエターは表現されていますが、正面から見えるラジエター前面の表現が無いので、可能な限り手を入れようかなと思います。
また、カウルフラップが分厚すぎるので、エッジの部分を出来る限り薄くする必要がありそうです。
カウルフラップそのものを作り替えるだけの実力があれば、薄いプラ板などで作れば良いんですが、微妙なRを揃えて作るのは、かなり難しそうなので、作り替えるのはあっさりと諦める事にして、薄く削るだけにします。
今回はエデュアルドのトランペッター社のP40B用のコクピットのエッチングパーツが入手出来たので、使ってみる事にしました。同じ機種の同じスケールなので、それほど大きな食い違いは出来ないのではと期待しています。
エッチングパーツの組立
エッチングパーツの計器盤を組み立てて、キットの計器盤のメーター類のモールドを削り取ったパーツに貼り付けます。
おそらく、トランペッターのキットの計器盤にはぴったりと合うのでしょうが、アカデミーのキットの計器盤はトランペッターのものより大きいようで、エッチングパーツが二回りほど内側になってしまいます。
同じスケールだと言っても以外に大きさに差があるものなんですね。
エッチングパーツにはシートも入っているので、組み上げてキットのシートに貼り付けました。エッチング製のシートベルトの組立はあらかじめシートに合わせて曲げておいてから接着する事が必要です。Fw190 D9の製作記事でも書きましたが、エッチングパーツの接着は瞬間接着剤を使うのが一般的ですが、接着してから無理矢理曲げると接着部分がはがれてどこかに飛んで行ってしまう恐れが有ります。そうなってしまうと探し出すのも大変ですから、くれぐれも慎重な作業が必要です。
パイロットシートの横の長いレバーは、キットのものは直径1mmほどあって、あまりにも太すぎるので、レバーの握り部分を残してレバーとレバー基部から後ろに延びるパイプは0.6mmの真ちゅう線に置き換えました。
エッチングパーツには操縦席側壁の計器類も幾つか有るのですが、これも微妙に表現が違っているようです。
エッチングパーツには側壁にもう少し多くのパーツが用意されているのですが、もともとトランペッターのキット用のエッチングパーツセットなので、微妙にサイズが合わなかったりするので、適当なところで折り合いをつけました。
胴体と主翼の組立
計器盤のエッチングパーツの組立と、コクピット内部へのエッチングパーツの取り付けを終了(かなりのエッチングパーツを省略しています)したので、胴体の左右を貼合せました。
垂直尾翼の前縁に、0.1mm厚のプラ板の小片を挟み込んでアンテナ線の取り付け部を作りました。最終塗装が済んだら0.2mm程の穴を開けて0.1mmのワイヤーを通すつもりです。
このキットは大きな部品同士は大きなズレや隙間が出来る事なくきれいに合うので、接着面の修正はほんの少しで済みました。
この段階ではシートの位置が前過ぎる事に気が付きませんでした。組立説明書の指示通りの場所に取り付けていたので、まさか間違った位置に取り付けているとは思いませんでした。しかし、今になって冷静に写真を見ると、ヘッドレストの接着面がパイロットの頭部の位置に合わない事に気が付いても良さそうですね。
機首上部のエアインテークの修正
初めの仮組で分かった修正点のうち、比較的簡単に修正出来そうなのが機首上部のエアインテークの修正です。
約5mm幅に切り出した0.5mm厚のプラ板を2枚貼合せて、中央に直径3mmの穴を開け、ニッパーなどで概ね0.3mmの厚さのリングを作って、先端をあらかじめ1mm切り取っておいたインテークの先端に接着しました。
接着は普通のプラスチック用のものが使いやすいですね。
黒の瞬間接着剤でも良いんですが、プラスチック用の接着剤は、接着部分が溶けて、0.数ミリ程度の隙間なら上手く隠してくれます。機首上部のエアインテークの管の部分は直線なんですが、キットでは特に上から見た時に中間部分が少し膨らんだ印象を受けるので、同時に修正しておきます。
キットではエアインテークの先端が先細りになっていたのも直線的になってすっきりしました。
この時点ですでに胴体に主翼を取り付けていますが、主翼の上下を張り合わす前に、主翼後縁の接着面を可能な限り薄く削っています。
主翼前縁側は、主脚収納部の出っ張り部分とその内側に段差が出来てしまうので、黒の瞬間接着剤を使って修正しました。
主翼の翼端部分の反り上がりの再現は、主翼上下を貼合せた後、下面のエルロン外側の筋彫にエッチング鋸で切り込みを入れ、エルロン外側の角から主翼前縁側に伸びる筋彫をカッターナイフで深く彫り進めた後、主翼上面側を火のついたタバコで暖めて、ゆっくりと曲げました。
こう言う作業では左右の曲がり具合を揃える必要が有る訳ですが、今回は微妙に違いが出てしまいました。この写真でも右翼側の反り上がりが少し強いのがはっきりと分かります。
概ね反り上がらせた後、上面側を内側と同一平面上に揃えて、反り上がりの再現は終了です。
排気煙、機銃口の開口
このキットも排気管や機銃口は開口されていないので、排気管は1.8mm、機銃口は0.4mmのピンバイスで開口してやります。排気管は中心を外さない様に慎重に開口します。
機銃の開口は部品が細いですから、中心を外すと穴が破れてしまう恐れが有るので、慎重に穴を開けます。
いつもなら、機銃は真ちゅうパイプに交換するんですが、キットの主翼の機銃のガス抜き穴の表現(単にデコボコが有るだけだし、大き過ぎるんですが)は真ちゅうパイプでは再現出来ないので、これもありかなと思います。
機首の機銃は真ちゅうパイプに交換するつもりでしたが、試しに穴を開けてみると、上手く中心に開ける事が出来たので、真ちゅうパイプ路線は変更しました。
こうして写真をあらためて見てみると、排気管、機銃口ともにもう少し穴を大きくして開口部の肉厚を薄くしたら良かったかなと反省しています。
プロペラ周りの修正、キャノピーのマスク
このキットの大きな欠点の一つが、プロペラ関連のパーツです。
まず、プロペラブレードが言わばプロペラの形をした単なる「板」でしかなく、しかも、やたら分厚く成形されています。
本当なら、ピッチの再現のために表側の根元から先端に向かって次第に薄くなるようにパテを盛り付けて成形してやれば良いんですが、私の現在の力量では、3枚のプロペラブレードを均一に仕上げる事は出来そうにないので、エッジを薄くするだけに止めました。
次に、スピンナーですが、キットではプロペラブレードの接着部分の前後で分割されていますが、この部分が「谷」になってしまっています。
ここの修正には「黒の瞬間接着剤」をパテ代わりに使いました。
今回もキャノピーのマスクは内側もマスクしています。
エデュアルドのカット済みマスキングテープを使うのは初めてですが、さすがにアカデミーのトマホーク用のものだけあって、ぴったりとマスクする事が出来ました。
いつもお世話になっているツキムラさんのものに比べると、接着力が強いのと、素材が普通の紙なので伸縮性が無い点が(当たり前の事とは言え)注意点ですね。
途中を飛ばして一気に完成写真
塗装過程に入るといつも写真を取り忘れます。
今回も途中で何度か写真を撮らないと、とは思ったんですが、結局完成させるまで写真は撮れませんでした。
最終過程で追加した修正点は、翼端灯と尾翼の航法灯をクリアーランナーを伸ばしたもので「電球」を作って、ゼリー状瞬間接着剤でガラスを表現しました。
少し大きすぎたのと、瞬間接着剤が乾燥した後は期待したほどの透明感がなくなってしまったのが残念です。
ピトー管は0.4mmの真ちゅう線でキットのパーツを参考に作り直しました。本当なら、ハンダ付けが一番なんですが、ハンダごてを持っていないので、瞬間接着剤を使っています。
後、お決まりのブレーキパイプ(0.3mmハンダを使っています)アンテナ線(0.1mm極細ワイヤーを使っています)を追加しました。
アンテナ線は尾翼の取り付け部の強度が心配だったので、あまり強くテンションをかける事が出来なくて、多少緩んだ感じになってしまいました。
機首下のラジエター前面には0.1mmの金属メッシュを貼り付けて、「らしく」してみました。
マーキングは、胴体の赤帯以外はデカールを使っています。機首下エアインテーク前のシャークティースの左右の境目に隙間が出来てしまったので、レタッチしていますが、ホワイトにブルーを加えるだけではデカールの明るいブルーと同じ色を作れませんでした。機首下で、あまり見えないところなので、あまり気にしない事にしました。
赤いエンジェルは、右手がボディーの下に潜ってしまって、引っ張り出す事が出来ませんでした。
青天白日マークは今回利用した別売りでカールのものは、ブルーの色調がアメリカ国籍マークの色のような紺色に近いものなので、使う気にはなりませんでした。
レベルのキットのものがサイズは明らかにでかすぎますが、色調が明るくて気に入ったのでこっちを使っています。
プロペラブレードの根元の注意書きのデカールも大きすぎますがレベルのキットのものです。
ツヤ消しクリアーでトップコートした後になって、アカデミーのキット付属のデカールの中にも正しいサイズの注意書きのデカールがあるのに気が付きましたが、白い台紙に白い小さな文字だったのと最初からキット付属のデカールは使わないつもりだったのとで見付けられませんでした。
デカールは、光沢クリアーの3回塗りの後研ぎ出しをしています。
最後のツヤ消しクリアーでツヤを整えて完成としました。
今回はウェザリングはまったくしていません。排気煙ぐらいは吹くつもりだったんですが、一旦手を止めてしまうと、ひとまず完成と言う事にしてしまいました。排気煙はいつでも塗る事が出来ますから、次のキットを作る時についでに塗ってやろうと思っています。
拡大版の完成写真がギャラリーにあるので、そっちも見てみてください。
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